メール配信の法令対応まとめ|特定電子メール法・特定商取引法・個人情報保護法でやること(Brevoでの設定つき)

この記事でできること

広告・宣伝のメールを送る事業者が守る3つの法律について、何をすれば足りるかをBrevoの設定に対応づけて確認できます。細かな条文の解釈ではなく、日常の配信で迷いやすい点(名刺の相手に送れるか、記録はいつまで残すか、何を本文に書くか)に絞っています。

注意: この記事は法律の一般的な説明で、個別の事案への助言ではありません。判断に迷う場合は弁護士や所管官庁(総務省・消費者庁・個人情報保護委員会)に確認してください。


なぜ必要か

迷惑メールに関する法律は「届かない」だけでなく、送信者への措置命令と罰則につながります。同時に、Gmail・Yahooの送信者ガイドラインが求める「同意のある相手にだけ送る」「配信停止を簡単にする」は、法律の要求とほぼ重なります。法令対応は、到達率対策でもあります。


3つの法律の役割分担

法律所管対象メール配信で関係すること
特定電子メール法総務省・消費者庁営利目的で広告・宣伝のメールを送るすべての送信者オプトイン、表示義務、受信拒否、同意記録の保存
特定商取引法消費者庁通信販売(ネット通販など)の事業者広告メールの事前承諾、承諾記録の3年保存
個人情報保護法個人情報保護委員会個人情報を扱うすべての事業者利用目的の明示、第三者提供、安全管理、漏えい時の報告

特定電子メール法:送る前・送るとき・送った後

同意なしに送れる相手は4種類だけ(第3条第1項)

広告・宣伝のメール(特定電子メール)は、あらかじめ送信に同意した相手にしか送れません(オプトイン方式)。例外として、次の相手にも送れます。

  1. 送信を求める、または同意する旨を通知した者(=オプトイン済み)
  2. 自分のメールアドレスを送信者に通知した者(名刺を渡した、書面で知らせたなど)
  3. 取引関係にある者
  4. メールアドレスをWebサイトなどで公表している団体、または営業を営む個人(「送信を拒否する」旨を併記している場合を除く)

2〜4の相手でも、受信拒否の通知を受けたら以後は送れません(第3条第3項)。

同意の記録を残す(第3条第2項、施行規則第4条)

同意を得た相手には、同意を得た時期・方法などの記録、または同意時に示した定型文の記録を保存します。保存期間は最後に送信した日から1か月です。措置命令を受けた場合は、命令から1年以内の送信について1年間に延びます。

メールに表示する項目(第4条、施行規則第7条・第9条)

表示する項目場所
送信者の氏名または名称本文の分かりやすい場所
受信拒否の通知を受け付けるメールアドレス、またはURL本文の分かりやすい場所
「上記の宛先・URLで受信拒否の通知ができる」旨受信拒否先の直前または直後
送信者の住所任意の場所(別ページに置く場合は、その場所を示すリンクを本文に)
苦情・問い合わせを受け付ける電話番号、メールアドレス、またはURL任意の場所(同上)

禁止されていること(第5条・第6条)

  • 送信者のメールアドレスや送信元の情報を偽って送る
  • 架空のメールアドレス宛てに大量に送る(アドレスを機械的に生成して送るなど)

罰則(第7条、第34条、第35条、第37条)

総務大臣・消費者庁長官は、違反した送信者に改善を命じられます(措置命令)。命令に従わない場合や、送信者情報を偽って送信した場合は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。法人には3,000万円以下の罰金が科されます(両罰規定)。同意記録の保存に関する命令への違反は、100万円以下の罰金です。

例外:取引のメールに添える広告(第3条第3項ただし書、施行規則第6条)

注文確認や契約内容の通知など、広告以外を主目的とするメールに広告が付随的に含まれる場合は、受信拒否後の送信禁止と表示義務の一部が適用されません。ただし「付随的」の範囲を超えて宣伝を主役にすると、通常の広告メールとして扱われます。


特定商取引法:ネット通販の事業者は上乗せで

通信販売の広告メールは、消費者の事前承諾がない限り送信できません(オプトイン規制)。承諾や請求があった記録は、最後に広告メールを送った日から3年間保存します。例外は、契約の成立・注文確認・発送通知に付随する広告、メルマガに付随する広告、無料メールサービスに付随する広告です。メールで広告するときは、事業者のメールアドレスを表示します。

ヒント: 特定電子メール法の記録保存(1か月)より長いので、通販事業者は3年で管理すると両方を満たせます。


個人情報保護法:メールアドレスも個人情報

メールアドレスは、氏名などと結びつけば個人情報です。配信リストを持つ事業者には次の義務があります。

義務内容メール配信での具体例
利用目的の特定と通知・公表(第17条、第21条)「事業活動に用いるため」のような抽象的な記載は不可登録フォームに「メールマガジンと商品案内の配信に利用します」と明記
目的外利用の禁止(第18条)特定した目的の範囲を超える利用には同意が必要問い合わせ対応で得たアドレスを、同意なくメルマガに追加しない
第三者提供の制限(第27条)原則として本人の同意が必要。委託は第三者提供に当たらないBrevoへの登録は委託。委託先の監督(第25条)として利用規約・データ処理の条件を確認する
安全管理措置(第23条、第24条)必要かつ適切な措置と従業者の監督Brevoのアクセス権限を担当者ごとに分ける、二要素認証を有効にする、CSVの持ち出しを管理する
開示・訂正・利用停止への対応(第33〜35条)本人からの請求に対応する配信停止だけでなく、削除の求めにはBrevoの連絡先を削除またはブロックリストで対応
漏えい等の報告(第26条、規則第7〜8条)1,000人を超える漏えい、不正目的の漏えいなどは委員会へ報告し本人へ通知。速報は速やかに、確報は原則30日以内配信リストの誤送付や、アカウントの不正アクセスが該当しうる

海外の受信者がいる場合は、EUのGDPR、米国のCAN-SPAM Act、カナダのPIPEDAなども関係します。


Brevoでの設定チェックリスト

法律上の要求Brevoでの対応
同意を取る「Contacts(連絡先)」→「Forms(フォーム)」で登録フォームを作り、利用目的と配信内容を明記する。ダブルオプトインにすると本人確認と記録が同時にできる
同意の記録を残すフォーム経由の登録はBrevoに登録日時と経路が残る。名刺や紙で得たアドレスは、受け取った日と状況を属性(カスタム項目)に入れてから取り込む
表示義務を満たす名称・住所・問い合わせ先をメール署名(フッター)として全テンプレートに入れる。配信停止リンクはBrevoのテンプレートのブロックを削除しない
受信拒否後に送らないBrevoは配信停止した連絡先を自動でブロックリストに入れ、以後の配信対象から外す。配信停止管理を参照
他ツールからの移行時に拒否者を引き継ぐ配信停止済みの連絡先はブロックリストとしてインポートする
安全管理ユーザーごとの権限、二要素認証、エクスポートの管理
取引のメールと広告メールを分ける注文確認などはトランザクションメールとして送り、宣伝を主役にしない

よくある疑問

Q. 名刺交換した相手にメルマガを送ってよいですか? A. 特定電子メール法では、名刺などで自分のアドレスを通知した相手は同意なしに送れる相手に含まれます。ただし、相手が受信拒否を伝えたら以後は送れません。また、通販の広告メールとして送る場合は特定商取引法の事前承諾が別に必要です。

Q. BtoBの営業メールは対象外ですか? A. 対象です。特定電子メール法は受信者が法人か個人かを問いません。取引関係にある相手やアドレスを公表している法人には同意なしで送れますが、表示義務と受信拒否後の送信禁止は同じように適用されます。

Q. 同意の記録は、Brevoに登録があれば足りますか? A. フォーム経由の登録なら、登録日時・経路の記録として扱えます。紙や口頭で得たアドレスは、Brevoに入れる前に「いつ・どのように同意を得たか」を自社で記録してください。

Q. 配信停止の処理は、どのくらい早く反映すべきですか? A. 法律には日数の定めはありませんが、通知を受けた後の送信は違反になります。Brevoの配信停止リンク経由なら即時に反映されます。メールや電話で受けた拒否は、その日のうちにBrevoでブロックリストに入れてください。


出典(確認日:2026年10月15日)


関連記事

活用ガイド一覧へ戻る