この記事でできること
「HubSpotの更新費用が重い」「使っている機能はメール配信とフォームだけ」という状態から、HubSpotのまま構成を見直す/顧客管理はHubSpotに残してメール配信だけBrevoにする/全面的にBrevoへ移るのどれが合うかを判断できます。移行する場合に持ち込めるデータと作り直すもの、順番も分かります。
注意: この記事は移行ありきではありません。HubSpotのSales HubやService Hubを業務の中心に使っている場合、無理に動かさない方がよいケースも多くあります。
なぜ必要か
HubSpotとBrevoは、料金の決まり方が根本から違います。
| HubSpot Marketing Hub | Brevo | |
|---|---|---|
| 課金の軸 | マーケティングコンタクト数とシート(ユーザー)数 | 月間メール送信数 |
| 送信できる通数 | 契約コンタクト数の5倍(Starter)・10倍(Professional)・20倍(Enterprise)/月 | プランの送信数まで。連絡先の保存数は送信数の段階に連動 |
| 導入支援 | ProfessionalとEnterpriseは1回限りの導入支援(Professional ¥360,000、Enterprise ¥840,000)が必須 | なし(オンボーディングは任意) |
連絡先が増えるほど費用が上がるHubSpotに対して、Brevoは「何通送るか」で決まります。1万件の連絡先に月1回送るだけなら、Brevoでは月1万通の段階で済みます。逆に少ない連絡先に高頻度で送る場合は、この差は小さくなります。
料金の比較(公式ページの日本円表示・2026年10月15日確認)
HubSpot Marketing Hub
| エディション | 月額(年払い) | 月額(月払い) | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| 無料ツール | ¥0 | ¥0 | 2ユーザーまで。メール送信は月2,000通(HubSpotロゴ付き) |
| Starter | ¥840/月/シート(新規顧客向けの割引価格。通常 ¥2,400/月/シート) | ¥2,400/月/シート | マーケティングコンタクト1,000件 |
| Professional | ¥96,000/月 | ¥106,800/月 | コアシート3、マーケティングコンタクト2,000件。追加シート ¥5,400/月〜。導入支援 ¥360,000(必須・1回) |
| Enterprise | ¥432,000/月 | ─(営業に相談) | コアシート5、マーケティングコンタクト10,000件。追加シート ¥9,000/月〜。導入支援 ¥840,000(必須・1回) |
マーケティングコンタクトを増やすと、エディションごとの単価で追加料金がかかります。
Brevo(マーケティングプラットフォーム)
| プラン | 月額(月払い) | 月額(年払い) | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| Free | ¥0 | ¥0 | 1日300通。連絡先は10万件まで保存 |
| Starter | ¥1,140〜 | ¥1,026〜 | 月5,000通〜(送信数の段階制) |
| Standard | ¥2,445〜 | ¥2,200.50〜 | 月5,000通〜。自動化無制限、A/Bテスト、ロゴ非表示 |
| Professional | ¥81,400〜 | ¥73,200〜 | 月15万通〜。10ユーザー、電話サポート |
詳しくはBrevoの料金プランの選び方を参照してください。両社とも料金は変わることがあるので、契約前に公式ページで確認してください。
機能差:ワークフロー(自動化)が分かれ目
HubSpotとBrevoの機能は大きく重なります。差が出るのは「どのプランから使えるか」で、いちばん影響が大きいのがワークフローです。ウェルカムメール、資料請求後のフォロー、休眠顧客の掘り起こしなど、MAの中心になる機能です。
| 機能 | HubSpot Marketing Hub | Brevo |
|---|---|---|
| メールの自動化 | 無料ツール:自動アクション1件。Starter:最大10件(「シンプルなマーケティングの自動化」) | 無料・Starter:マーケティングオートメーションを利用可(連絡先2,000件まで) |
| ワークフロー(オムニチャネルのマーケティングオートメーション) | Professional以上。Professionalは最大300件、Enterpriseは最大1,000件。行動イベントや予測リードスコアリングはEnterprise | Standard以上で連絡先数無制限。無料・Starterでも2,000件までの範囲で分岐・待機・条件つきの自動化を組める |
| ワークフローを本格的に使うときの最低費用 | Professional:月¥96,000(年払い)+導入支援¥360,000(必須・1回)、コアシート3つ込み | Standard:月¥2,445(月払い)〜。送信数の段階で変動 |
| A/Bテスト・送信時間の最適化 | エディションにより制限(公式ページ参照) | Standard以上 |
| ランディングページ | 無料ツールから作成可 | Standardで1ページ、Professionalで10ページ |
| 営業パイプライン(取引管理) | 無料CRMが中核。営業機能が充実 | 無料のSales機能(未完了取引50件・パイプライン1)。拡張はSales Essentials(月¥4,254.33〜) |
| ユーザー数 | 無料ツール2人。Starterはシート単位で課金。Professionalは3シート込み | 無料・Starter1人。Standard最大3人(追加は有料)。Professional10人 |
| SMS | 連携で対応 | 全プランでSMSクレジットを購入して送信 |
つまり、「メール配信にワークフローを足したい」だけなら、HubSpotでは月額が一桁変わります。逆に、営業の案件管理や複数チームでの運用が中心なら、HubSpotの無料CRMとProfessional以上の管理機能に価値があります。ワークフローの有無で費用がどう変わるかを、まず自社の使い方で確かめてください。
ヒント: HubSpot無料ツール+Starterで「自動化が足りない」と感じている場合、Professionalに上げる前に、Brevoの無料プランで同じワークフローを組んでみると費用の差が実感できます。無料プランで2,000件までの連絡先に自動化を試せます。
3つの選択肢と選び方
| 選択肢 | 合うケース | 注意点 |
|---|---|---|
| ① HubSpotのまま構成を見直す | 営業・サポートのパイプラインや案件管理をHubSpotで日常的に使っている。マーケティングコンタクト数を減らせる余地がある | 配信対象外の連絡先を「非マーケティングコンタクト」に変えるだけで費用が下がることがある |
| ② 顧客管理はHubSpot、メール配信はBrevo | CRMとしてのHubSpotは手放せないが、Marketing Hubの費用が合わない | 2つのツールで連絡先を同期する運用が必要。配信停止の反映を両方で管理する |
| ③ 全面的にBrevoへ移行 | 使っているのはメール配信・フォーム・簡単な自動化が中心。営業管理もBrevoのSales機能で足りる | 自動化・テンプレート・フォームは作り直し。配信実績(開封・クリック履歴)は引き継げない |
判断の目安は、HubSpotで「メール配信以外」に毎週使っている機能があるかです。あれば①か②、なければ③を検討します。
移行で持ち込めるもの・作り直すもの
| データ・機能 | 持ち込み | 方法・補足 |
|---|---|---|
| 連絡先とプロパティ | ○ | HubSpotからCSVでエクスポートし、Brevoの「Contacts(連絡先)」→「Import contacts(インポート)」で属性に対応づける |
| 配信停止・バウンス済みの連絡先 | ○(最優先) | HubSpotの「Unsubscribed from all email」が true の連絡先を別ファイルにし、Brevoでブロックリストとしてインポートする(インポート時にメールのブロックリストを有効化) |
| 静的リスト | ○ | リストごとにCSVでインポートし、Brevoのリストに追加 |
| 動的リスト(アクティブリスト) | △ | 条件をBrevoのセグメントで作り直す |
| メールテンプレート | △ | HTMLを書き出せば貼り付けられるが、Brevoのエディターで作り直す方が運用しやすい |
| ワークフロー(自動化) | × | Brevoの「Automations(オートメーション)」で再構築 |
| フォーム | × | Brevoの「Contacts(連絡先)」→「Forms(フォーム)」で作り直し、サイトの埋め込みコードを差し替える |
| 取引(Deal)・パイプライン | △ | CSVでBrevoのSales機能に取り込める。パイプラインの段階は再定義 |
| 配信実績(開封・クリックの履歴) | × | 引き継げない。必要ならHubSpot側でレポートを書き出して保管 |
| 送信ドメインの認証 | ×(新規設定) | Brevo用のSPF・DKIMを設定。HubSpot側の認証はHubSpotからの送信を止めるまで残す |
重要: 配信停止の情報を持ち込まずに全件を送ると、以前に拒否した相手へ再び送ることになり、特定電子メール法違反と迷惑メール報告の両方につながります。必ず最初に取り込んでください。
移行の手順
- 棚卸し:HubSpotで使っている機能、連絡先数、月間送信数、動いている自動化の一覧を作る
- Brevo側の土台:アカウント作成、送信者とドメイン認証、DMARCの確認
- 配信停止・バウンスの取り込み:ブロックリストとしてインポート(上の表の方法)
- 連絡先の取り込み:属性を決めてからインポート。インポート前の整理を参照
- セグメントとリストの再作成
- テンプレートの作成:法令上の表示事項(名称・住所・問い合わせ先・配信停止)を署名として設定
- フォームと自動化の再構築:ウェルカムシリーズなど、動いていたものから順に
- 並行運用:数週間はHubSpotからの送信を止めず、Brevoは少量から段階的に増やす(ウォームアップ)
- 切り替え:フォームの埋め込みをBrevoに変更し、HubSpot側の送信を停止。契約のダウングレードは契約条件を確認してから
標準的な規模(連絡先数万件、自動化数本)なら2〜4週間が目安です。自動化の数と、連絡先データの整理状況で変わります。
よくある疑問
Q. HubSpotの年間契約が残っています。 A. 契約期間中の解約・ダウングレードの条件は契約書とHubSpotの利用規約で決まります。移行の準備(Brevo側の構築と並行運用)は契約満了前から進め、切り替えを満了に合わせるのが一般的です。
Q. 無料のHubSpot CRMは使い続けられますか? A. 使えます。②の形(顧客管理はHubSpot、配信はBrevo)がこれに当たります。連絡先の同期はCSVの定期的な受け渡しか、連携ツールで行います。
Q. ワークフローのためだけにHubSpot Professionalにするべきですか? A. 使うのがメールのワークフロー(ウェルカム、フォロー、掘り起こし)だけなら、BrevoのStandardで同じことができ、費用は大きく下がります。HubSpotのProfessionalが活きるのは、営業・サービス部門を含めた複数チームの業務を1つのCRMで回す場合です。
Q. HubSpotのスコアリングやリードの段階管理はどうなりますか? A. BrevoにもSales機能と連絡先スコアリング(Professional以上)がありますが、HubSpotの設定をそのまま移すことはできません。何に使っていたかを棚卸しし、必要なものだけ再定義します。
Q. 移行の作業を頼めますか? A. 初回配信までの環境づくりはオンボーディングサポート、自動化やフォームの個別の再構築はスポットサポートの範囲です。どの選択肢が合うかの整理は無料相談で一緒に行えます。
出典(確認日:2026年10月15日)
- HubSpot「Marketing Hubの料金プラン」(JPY表示) https://www.hubspot.jp/pricing/marketing
- HubSpot ナレッジベース「Export your content and data」 https://knowledge.hubspot.com/account-management/export-your-content-and-data
- HubSpot ナレッジベース「Learn a contact’s marketing email subscription status」 https://knowledge.hubspot.com/marketing-email/learn-a-contact-s-marketing-email-subscription-status
- Brevo「Pricing Plans」(JPY表示) https://www.brevo.com/pricing/
- Brevo Help「Import a list of blocklisted contacts」 https://help.brevo.com/hc/en-us/articles/5317230365074