この記事でできること
「認証はすべて PASS なのに、Gmail や Outlook で迷惑メールに入る」という状態を、原因の候補を順に潰す形で切り分けられます。それぞれの原因について、Brevo のどの画面と、どの外部ツールで確認するかを示します。
注意: 本記事は認証の設定が終わっている方向けです。まだの方は送信者ドメインの認証(SPF・DKIM)とSPF・DKIM・DMARC完全設定から始めてください。
なぜ必要か
SPF・DKIM・DMARC は「このメールは本当に example.com が送ったものか」を確かめる仕組みです。なりすましではないことの証明にはなりますが、受信者が欲しがっているメールかどうかは証明しません。
Google の送信者ガイドラインも、認証されたメールは「Gmail で拒否されたり迷惑メールと判定されたりする可能性が低くなる」と書く一方で、「正当なメッセージの一部が迷惑メールと判定されることがある」と明記しています。つまり認証は前提条件であって、届く保証ではありません。
届くかどうかを決めるのは、次の順番です。
- 認証(なりすましでないか):ここは合格している前提
- 評判(このドメイン・IP からのメールを受信者は歓迎してきたか)
- 反応(開封・返信・迷惑メール報告・削除)
- 内容(件名・本文・リンク先)
認証が合格でも届かないなら、原因は 2〜4 のどこかにあります。
まず「本当に合格しているか」を確かめる
意外に多いのが、「Brevo の画面では認証済みなのに、実際のメールでは失敗している」ケースです。Gmail で受信したテストメールを開き、右上のメニューから「メッセージのソースを表示」を選ぶと、上部に次の3行が出ます。
SPF: PASS(IP ...)
DKIM: 'PASS'(ドメイン example.com)
DMARC: 'PASS'
ここで確認するのは2点です。
- DKIM の署名ドメインが差出人のドメインと一致しているか(アライメント)。差出人が
info@example.comなのに DKIM がmail.sendibm.comなどで署名されていれば、DMARC は合格しません - SPF の判定対象ドメインが自社ドメインになっているか。Return-Path が Brevo 側のドメインのままだと、SPF は Brevo のドメインに対して合格しているだけです
3行とも PASS で、ドメインも自社のものなら、認証は本当に合格です。次の原因に進んでください。
認証が合格でも迷惑メールに入る8つの原因
原因1:ドメインの評判がまだ無い、または下がっている
新しく認証したドメインには、受信側の評価がまだありません。Gmail は IP よりドメインの評判を重視するため、「認証した直後にまとめて送った」だけで迷惑メールに入ることがあります。評判は送信履歴と受信者の反応の積み重ねで決まり、1日では変わりません。
確認:Google Postmaster Tools の「Spam rate(迷惑メール率)」と「Compliance status(コンプライアンス ステータス)」。なお、旧画面にあった「Domain Reputation(ドメインの評判)」は、新しい Postmaster Tools(v2)への移行に伴い廃止が予定されています(後述)。
原因2:ウォームアップせずに送信量を増やした
評判が付く前に大量に送ると、受信側は「急に増えた送信元」として警戒します。新しいドメイン、新しい専用 IP、長く送っていなかったドメインの再開は、いずれも段階的に増やす必要があります。ウォームアップ戦略を参照してください。
原因3:共有 IP の評判に引きずられている
Brevo の標準プランでは、複数の送信者が同じ IP を共有します。自社の評判が良くても、同じ IP の別の送信者が問題を起こせば一時的に影響を受けます。ただし Gmail はドメイン評判を重く見るため、共有 IP だけが原因になることは多くありません。共有IPと専用IPの違いを確認してください。
原因4:リストの品質(古い・反応がない・購入した)
認証が合格でも、2年前に名刺交換した人のリストや、購入リストに送れば、迷惑メール報告と「存在しないアドレス」へのバウンスが増えます。受信側は「この送信元は宛先を確認していない」と判断します。これは認証と無関係に起こる、最も多い原因です。
確認:Brevo の「Campaigns(キャンペーン)」→「Statistics(統計)」でハードバウンス率と迷惑メール報告の件数。
原因5:迷惑メール率が基準を超えた
Google は Postmaster Tools の迷惑メール率を 0.10% 未満に保ち、0.30% 以上に達しないことを求めています。0.30% を超えると、認証の有無にかかわらず迷惑メールフォルダ行きが増えます。迷惑メール率は「受信トレイに届いたメールのうち、受信者が手動で迷惑メール報告した割合」で、DKIM で認証されたメールだけが集計対象です。認証を終えた今こそ、この数字が見えるようになります。
確認:Postmaster Tools の「Spam rate(迷惑メール率)」。対処はバウンス・迷惑メール報告が増えたときの対処法。
原因6:件名・本文・リンク先
受信側のフィルターは本文も見ています。認証とは独立に効く要素は次のとおりです。
- 短縮 URL(bit.ly など)や、評判の悪いドメインへのリンク。リンク先ドメインの評判は、送信ドメインとは別に評価されます
- 画像だけのメール(テキストがほとんどない)
- 件名の「【無料】」「!!」「今すぐ」の多用、全角記号の連打
- 本文の差出人名・会社名・住所・配信停止リンクが無い、または見えにくい
- HTML の崩れ(閉じタグ漏れ、巨大なインライン CSS)
確認:同じリストに対して、本文だけを変えたテスト送信で差を見る。
原因7:転送されている
受信者が会社のアドレスから個人の Gmail に自動転送していると、転送サーバーが送信元になるため SPF は失敗します。DKIM は本文が改変されなければ残るので、DKIM と DMARC が合格していれば通常は問題になりません。ただし転送サーバーが本文(免責文の追加など)を書き換えると DKIM も壊れます。これは送信者側では直せません。
確認:迷惑メールに入った受信者のアドレスが、転送先かどうかを本人に確認する。
原因8:古いサーバーや別ツールが同じドメインで送っている
Brevo の設定は完璧でも、社内のメールサーバー、基幹システムの通知、以前使っていた配信ツールが同じ example.com を名乗って送っていると、それらは SPF にも DKIM にも含まれていないため失敗します。受信側はドメイン全体の評判として見るので、Brevo からのメールまで巻き添えになります。
確認:DMARC レコードの rua= で届く集計レポートに、Brevo 以外の送信元 IP が無いかを見る。自社ドメインを名乗る未知の送信元が見つかれば、SPF への追加か停止を判断します。
補足:受信者側の設定
上の8つに当てはまらない場合は、受信者側の事情です。
- 受信者本人が過去に自社のメールを「迷惑メール」にしていると、その人の受信トレイでは以後もそう扱われます
- 会社の Google Workspace や Microsoft 365 では、管理者のポリシーで一括配信が隔離されることがあります。送信者側では直せないので、受信者に「許可リストへの追加」を依頼します
確認手順(上から順に)
| # | 手順 | 使うもの | わかること |
|---|---|---|---|
| 1 | テストメールのヘッダーで SPF・DKIM・DMARC とアライメントを確認 | Gmail「メッセージのソースを表示」 | 本当に合格か |
| 2 | Postmaster Tools にドメインを登録し、迷惑メール率とコンプライアンス ステータスを見る | Google Postmaster Tools | 原因1・5 |
| 3 | 直近5回のキャンペーンのハードバウンス率・迷惑メール報告・開封率の推移を見る | Brevo「Statistics(統計)」 | 原因4・5 |
| 4 | DMARC 集計レポートで、自社ドメインを名乗る送信元 IP を一覧する | rua= のレポート(見やすくするツールは出典参照) | 原因8 |
| 5 | 直近90日以内に開封・クリックした人だけのセグメントに同じメールを送り、届き方の差を見る | Brevo「Segments(セグメント)」 | 原因4(差が出ればリストの問題) |
| 6 | 本文だけを変えてテスト送信し、差を見る | Brevo テスト送信、Gmail・Outlook・Yahoo! JAPAN・iCloud の自分のアドレス | 原因6 |
| 7 | 送信量の推移を見て、急増の有無を確認する | Brevo「Statistics(統計)」 | 原因2 |
手順5が最も重要です。反応のある人には届き、反応のない人には届かないなら、原因はリストと評判であって、設定ではありません。
ヒント: 手順2の Postmaster Tools は、登録した日からのデータしか表示されません。迷惑メールに入ってから登録しても過去は見えないので、認証が終わったら先に登録しておいてください。
注意: Google は Postmaster Tools を新しい画面(v2)に移行しています。旧画面の「Domain Reputation(ドメインの評判)」と「IP Reputation(IP の評判)」のダッシュボードは廃止予定で、Google は「評判は到達率を左右する要素の1つにすぎず、表示が誤解を招くことがある」として、より行動につなげやすい新しいダッシュボードに置き換えるとしています。評判の数値を待つより、「Spam rate(迷惑メール率)」と「Compliance status(コンプライアンス ステータス)」を日々の確認に使ってください。
Brevo で確認できる場所
| 見たいもの | 場所 |
|---|---|
| ドメインの認証状態 | 「Senders, Domains & Dedicated IPs(送信者・ドメイン・専用IP)」→「Domains(ドメイン)」タブ |
| バウンス・迷惑メール報告・開封率 | 「Campaigns(キャンペーン)」→ 各キャンペーンのレポート。「Spam complaints(迷惑メール報告)」の件数と率が表示され、「Unsubscribes(配信停止)」タブでは受信ドメイン別・リスト別の内訳も見られる |
| ハードバウンスで自動除外された連絡先 | 「Contacts(連絡先)」で「Blocklisted(ブロックリスト)」の状態 |
| 反応のある人だけのセグメント | 「Contacts(連絡先)」→「Segments(セグメント)」で「開封した/クリックした」条件 |
継続的な監視のしかたはBrevoで送信評判をモニタリングする方法を参照してください。
注意: Brevo は、迷惑メール報告率が 0.2% を超えるとキャンペーンやアカウントが停止される場合があるとしています。Google の基準(0.3%)より厳しいので、Brevo の数字を先に気にしてください。Gmail・Yahoo・Outlook 宛ての報告率は、Brevo のキャンペーン統計で確認できます(Brevo ヘルプ)。
よくある疑問
Q. DMARC を p=reject にすれば届きやすくなりますか?
A. なりすまし対策としては強くなりますが、評判や反応が原因の迷惑メール判定は変わりません。p=none から quarantine、reject へは、集計レポートで正規の送信元がすべて認証に通っていることを確認してから進めてください。
Q. 専用 IP にすれば解決しますか? A. 共有 IP の評判が原因なら改善しますが、リストや反応が原因なら悪化します。専用 IP は自社の送信だけで評判を作るため、送信量が少ない(目安として月数万通未満)と評判が付かず、かえって届きにくくなります。
Q. 迷惑メールフォルダから受信トレイに戻してもらえば直りますか? A. 本人の受信トレイでは効果があります。複数の受信者に「受信トレイに移動」「連絡先に追加」をしてもらうと、受信側の学習にも良い影響がありますが、根本原因(リスト・頻度・内容)を直さない限り元に戻ります。
Q. 件名に「広告」と入れると迷惑メールになりますか? A. 「広告」表記そのものが迷惑メール判定の理由になるという根拠は公式には示されていません。特定電子メール法上の表示義務を優先し、件名より本文の作りと送信先の品質を整えてください。
出典(確認日:2026年10月28日)
- Google「メール送信者のガイドライン」 https://support.google.com/a/answer/81126?hl=ja
- Google「Postmaster Tools のダッシュボード」 https://support.google.com/mail/answer/14668346?hl=ja
- Google「Learn about the deprecation of the old Postmaster Tools interface」 https://support.google.com/mail/answer/16594218?hl=en
- Brevo Help「Analyze and export your email campaign report」 https://help.brevo.com/hc/en-us/articles/19764406559506
- Google「Gmail へのメール転送に関するベスト プラクティス」 https://support.google.com/mail/answer/175365?hl=ja
- Brevo Help「Comply with Gmail, Yahoo, and Microsoft’s requirements for email senders」 https://help.brevo.com/hc/en-us/articles/14925263522578
- IETF RFC 7489「Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance (DMARC)」 https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc7489